ノカノワ

ノカノワのはじまり

はじめまして。ノカノワのキダです。

私は2018年から約二年半、農薬や肥料を使わない農業法人で働きながら、多くのことを学びました。

なかでも印象的だったのは、生命力にあふれた畑と、そこから生まれる、驚くほど美味しい野菜のことです。
初めて畑でにんじんをかじったとき、
「にんじんって、こんなにも美味しいものだったのか」
と思った衝撃は、今でもはっきり覚えています。

同時に、これまで自分が食べてきたものは何だったのか。
どうして、こうした作物がもっと身近に流通していないのか。
そんな疑問が、自然と湧いてきました。

市場に並ぶ多くの野菜には、見た目をそろえるために、大量の農薬や肥料が使われています。
私たちの身の回りでは、健康や環境への配慮よりも、流通の都合や規格が優先される場面が少なくありません。

農業のあと、私は卸売市場で一年半ほど働きました。
そこで感じたのは、「誰が、どんな想いで、どのように育てたのか」よりも、「商品としてどう扱うか」が重視されている現実でした。

今、多くの人がスーパーなどの小売店で食材を買っています。
ですが、それを食べる人も、売る小売店も、その先にいる卸売業者も、生産者である農家さんの顔や想いを知らないことがほとんどです。
そして、農家さんもまた、食べる人のことを知らないまま作っている。
そんな関係性が、当たり前になっているのが、今の食の現場ではないでしょうか。

農業法人にいた頃、近くの農家さんから、
「自分たちが食べる分には農薬や肥料は使わないけど、JAに出す分には使う」
という話を聞きました。これはその方に限った話ではなく、他の地域でも、同じような声を何度も耳にしました。

そうした経験を通して強く感じたのは、もっと「つくる人」と「たべる人」が、互いを知るきっかけが必要だということでした。

「つくる人」を知れば、「たべる人」は見た目にとらわれず、その奥にある想いや本来の味、本当の価値にも気づけるようになる。
その気づきは「つくる人」の励みとなり、「もっといいものをつくりたい」という思いにつながる。

そんな関係をつくりたいという思いから、私はWeb制作の仕事を学び、情報を発信するための技術や仕組みづくりを身につけていきました。

そして2025年、「ノカノワ」という小さな輪を立ち上げました。
ノカノワは、農薬や化学肥料に頼らず、自然に寄り添って農業を続ける人と、そんな食を選びたいと思う人が、安心してつながれる場です。

この輪が、これからを生きる子どもたちの未来にも広がることで、健やかな暮らしや、豊かな環境が当たり前になる社会へとつながっていく。
その実現に向けて、ノカノワという輪を、これからもみなさんと一緒に広げていきたいと考えています。