ノカノワ

日本の食料自給率は38%?実質は一桁台の可能性も|最新データと課題

私たちが食べている食べ物。
そのうち、どれくらいが日本国内で作られているか、ご存じですか?

最新のデータ(2024年発表:令和5年度)によると、日本の食料自給率は「カロリーベース」で38%です。

ここでいう38%は「カロリーベース自給率」と呼ばれる指標です。
これは国民が摂取するカロリーのうち、どれだけを国内で生産しているかを示したもので、国際比較に使われる標準的な数値です。

つまり、私たちが毎日食べている食べ物の6割以上が外国からの輸入ということになります。

実は「体感的自給率」はもっと低い?

たとえば国産と表示される豚肉や卵でも、そのエサとなるトウモロコシや大豆かすの多くは外国産に頼っています。
このような背景を踏まえると、研究者の中には 実質自給率は15〜20%程度と推計する人もいます。

さらに、野菜の多くに使われるF1種子の9割以上は海外で採種されており、肥料の原料(リンやカリ)や農薬の原体もほとんど輸入に依存しています。
こうした種子や資材の海外依存まで含めて考えれば、日本の食料自給率は一桁台にまで落ち込む可能性すらあるのです。

海外と比べるとどうなの?

国名 自給率(カロリーベース) コメント
日本 38% 輸入依存度が高く、穀物・飼料が弱点
アメリカ 120〜130% 世界有数の農産物輸出国
フランス 120%前後 EU最大の農業国
韓国 45%程度 日本よりやや高いが、依存体質は似ている
中国 90%以上 国家戦略として食糧安全保障を重視
カナダ 260%以上 小麦や牛肉などを輸出する農業大国

日本は、先進国の中でも群を抜いて低い数値であることがわかります。

日本の食料自給率がさらに下がるリスク

日本の自給率は今後もっと低下するリスクもあります。

  • 農業従事者の高齢化と担い手不足(平均年齢68歳超)

  • 種や飼料、肥料の海外依存が進行

  • 気候変動・自然災害で収量が不安定に

  • 外食や加工品中心の食生活へのシフト

こうした要因が重なると、食料自給率はさらに低下しかねません。

輸入に頼って何が悪いの?

「安く買えるなら、海外からでも良いのでは?」
そんな声もあるかもしれません。

でも、輸入依存には以下のリスクがあります。

物流トラブル・国際情勢で一瞬にして止まる

コロナ禍やウクライナ情勢のように、物流が止まればスーパーの棚も空になります。

為替や燃料価格に左右され、どんどん高くなる

円安や原油高などで、輸入コストが急騰しています。

国内農業が崩壊したら再生できない

農家が減り、いざというときに国内で作れない国になりかねません。

見えない農薬や薬剤処理

輸入食品には、長時間輸送に耐えるためにポストハーベスト農薬や防カビ剤が使われる場合もあります。
国内では使用禁止でも、輸入ならOKというケースもあるのです。

自然栽培や地域農業など、小さな農の希望

こうした課題に対して、自然栽培や有機農業、地域での地道な農業の取り組みなど、小さな動きではありますが希望となる実践もあります。

自然栽培は、農薬も化学肥料も使わず、土地の力だけで作物を育てる農業。
一方で、有機農業や地産地消を進める農家さんたちも、それぞれの方法で環境に配慮し、地域で持続できる農業を続けています。

大量生産には向かないかもしれません。
でも、こうした地道な農業こそが「その土地で、その土地の食を育てる」食料自給の原点でもあります。

私たちにできること

いきなり自給率を100%に戻すことは無理でも、私たちの日々の食卓の選択から、変えていくことはできます。

  • 地元の旬の野菜を選ぶ

  • 自然栽培・有機農産物を買ってみる

  • 農家さんと直接つながる(マルシェやCSAなど)

  • 畑を借りて自分たちで作ってみる(市民農園やシェア畑など)

一人ひとりの「選ぶ力」が、未来の農業と食卓を支える力になります。

ノカノワもその一歩に

私たちノカノワも、自然栽培の農家さんや小さな地域の農業を応援し、その魅力や価値を伝える活動をしています。

  • 自然に寄り添った農業や食文化を紹介する

  • 農と食をもっと身近に感じてもらう

  • 未来の暮らしに役立つ情報を発信する

こうした取り組みを通じて、「自然な食のあり方」を少しずつ広げていけたらと考えています。

おわりに

食料自給率の話は、どこか国の政策のような遠い話に感じるかもしれません。
でも、本当は私たち一人ひとりの食べ方・暮らし方の話でもあるのです。

私たち自身が、「食べものがどこから来るのか」を知り、そして「何を選ぶか」を考えること。
未来の食卓を守る一歩は、そこから始まるのではないでしょうか。