ナミアゲハを育ててみた
最近訪れた、伊予柑を育てる農家さんの伊予柑の木にナミアゲハ(アゲハチョウの一種)の幼虫がいました。
ナミアゲハの活動時期は4~10月で、幼虫はミカン科植物(ミカン、レモン、サンショウなど)を食べます。

ナミアゲハの幼虫は、5回脱皮を繰り返し(1齢~5齢と呼ばれる)大きくなっていきます。
ナミアゲハは5齢幼虫(終齢)まで行くと葉っぱ風の緑色になるので、上の写真のナミアゲハはまだ終齢ではないことがわかります。
1齢~4齢までは黒と白の模様で鳥のフンに擬態しています。

終齢のナミアゲハはこんな感じです。
イモムシを飼育してみよう
かわいいのでアゲハの幼虫を育ててみました。
幼虫を見つける
卵または孵化したての子を発見して持ち帰ります。
卵は小さいので見つけにくいかもしれません。写真では1匹孵化して卵のそばにいますね。
黄色いやつがまだ生まれてない卵です。見えますか?小さすぎて写真では見えないかも。

小さい子をたくさん取ってきました。うにゃうにゃしててかわいいですね。本当に小さいです。1齢幼虫は数ミリしかありません。

私が飼育している感じでいうと、卵はコバエに寄生されていることが多かったので注意です。
もしコバエが生まれてきたらと仮定して、家の中でそのまま孵化を待つのは危険かもしれません。
家に置いとく場合は、容器に葉を入れラップをかけて、ハエが逃げないようにしておくといいかも知れません。
なぜ1齢幼虫を探すのかというと、大きいと寄生バチに寄生されている可能性が上がるからです。蛹(さなぎ)から蝶ではなく蜂が出てきたら悲しすぎます、、、まだ私が育てた幼虫には寄生された子はいないので見たことないですが、よくあることみたいです。
幼虫を育てていく(1齢~4齢)
大変なのは葉っぱの入手。小さいので柔らかい新芽しか食べてくれないのです。
食べる量は少ないのですが、新芽はすぐヘニャヘニャになってダメになってしまうのが難点。
ずっと新芽を与えていると大きくなっても硬い葉っぱを食べてくれなかったので、徐々に硬いやつに置き換えていきました。

5齢(終齢)はめっちゃ食べる
終齢はめちゃくちゃ葉っぱを食べます。元気です。
部屋の中で育ててるのですが、深夜に葉っぱを食べている音が聞こえてきてとても癒されます。

蛹(さなぎ)になる直前すごい勢いで動き回る
終齢幼虫は蛹になる時が来ると葉っぱを食べなくなるみたいですが、いつも私は気づけません。
ですが、蛹になるためにおしりから液体のフンが出くるので、よし!蛹になる合図だな!とわかります。
体の水分が出るからか、体が少し縮んだ気がします。
その後は餌の葉を離れ、静かで安全な場所を探して歩き回ります。脱走したらもう大変。家中探して、そんなに歩いたの?!ってぐらい遠くから発見することも。
蛹になる準備(前蛹)
場所を決めたら本格的に蛹になる準備です。
気に入った場所を見つけると、お尻の先から糸を出して糸掛けを行い体を固定させます。
糸でしっかり固定された幼虫は、ほとんど動かなくなり、徐々に体が縮みます。
この状態が「前蛹(ぜんよう)」です。
前蛹期間は約1日ほど。
木の枝や割り箸を用意していましたが、段ボールの壁に決めたみたいです。

蛹化!
最後に皮を脱いで、蛹になります。
蛹は糸で吊られたままの状態で数週間を過ごし、最終的に羽化して成虫になります。
自然下では、捕食者から身を守るために目立たない場所で蛹化します。
基本的に蛹は緑か茶色になります。葉っぱと木の色に擬態しているのかもしれません。
ダンボールの中で育てているからか、かなりの確率で茶色になりました。

蛹の期間は季節によって異なりますが、夏なら約10~14日間。
秋以降は越冬蛹となって数ヶ月間。春に出てきます。
注意なのですが、越冬蛹を家の中に置いておくと、室内が暖かいので春になる前の寒い時期に羽化してしまう可能性があります。
蛹の状態では寒くても平気ですが、蝶は生きていけないです。かならず外などの寒い場所に置いておきましょう。
外から見るとほとんど変化がないですが、中ではチョウの体が少しずつ形成されています。
蛹は触ると反応する
育てるまで知らなかったのですが、蛹も動きます。
間違えて触れてしまった時に、体をブンブン振り出してとてもびっくりしました。
明らかに嫌がられていますが、経験として一度触ってみるのもいいかも知れません。
羽化の前兆
蛹の色が透けて黒っぽくなり、羽の模様が見えるようになるとでてくる合図です。
朝~午前中に羽化することが多いです。(太陽の動きと連動している?)
たまに夕方に羽化してましたが、真夜中はなかったです。
羽化!蛹からついに出てくる!
蛹の殻が背中側から割れ、成虫のチョウがゆっくり出てきます。
このときは羽がまだ小さく、しわしわ。
羽化直後は柔らかく、全身がふにゃふにゃです。
羽化後は30分~1時間かけてゆっくり羽を広げていきます。
体の水分を排出するためか、お尻から液体がでてきました。

飛び立ち
羽が乾いて完全に硬くなると、軽く羽ばたきの練習を始め、やがて飛び立ちます。
飛ぶ練習をしているときは手に乗ってくれて可愛いです。
家の前で取ってきた子なのでベランダから放蝶しました。

生態系を守るために、他の地域から取ってきたイモムシは放蝶せずに寿命まで飼育しましょう。
放蝶された個体が、地域外の遺伝子を持っている場合、在来個体群と交雑し、その地域特有の遺伝的特徴(寒さに強い・模様が濃いなど)が失われる恐れがあるためです。
羽化不全
残念ながら羽化に失敗したアゲハが1匹いまいた。
蛹の殻を羽から取れずに羽がくしゃくしゃになってしまいました。

本当にかわいそうです。。殻は取ってあげました。

放蝶はできないため家で育てます。
薄めたポカリを飲むというポストをSNSで拝見したので実践してみました。
飲みやすいようにティッシュに薄めたポカリを染み込ませました。
アゲハの吸収管(口のくるくる)を爪楊枝で伸ばしてあげて、これが餌であると認識させます。
覚えてくれたみたいで次回からは自分で飲んでくれました!

蛹の抜け殻を観察してみた
羽化した後の蛹の抜け殻を並べてみると、サイズや色に個体差があって面白いです。

徐々に色が濃くなっている?

おわりに
アゲハの幼虫を育てるのめちゃくちゃ楽しいです。
必要なものはミカン科植物だけ。ぜひ育ててみてください。
