雨が降らないと畑はどうなる?自然栽培が向き合う水不足の現実
晴れた空を見ると、つい「気持ちいい天気だなあ」と思ってしまいます。
でも、そんな日が何日も続くと、畑ではちょっと困ったことが起こりはじめます。
晴天が続くと畑で起こること
水不足が作物に与える影響
晴れた日が続くと、畑の土は乾きすぎて固くなります。
根がうまく伸びず、養分や水を吸えなくなることで、芽が出なかったり、葉がしおれたり、実が小さくなったりします。
結果として、収穫量が減ることもあります。
病気や虫も増える
乾燥した環境では、ハダニやアブラムシなどの害虫が増えやすくなります。
植物が弱ると病気にもかかりやすくなり、最悪の場合は収穫できなくなることもあります。
土の健康も低下
雨は作物だけでなく、土の中の微生物にも欠かせません。
雨がないと微生物が活動しにくくなり、土の健康も損なわれていきます。
どんなに時間をかけて良い土を作っても、雨がなければ力を発揮できません。
自然栽培の乾燥対策
自然栽培は農薬や化学肥料を使わないため、水不足の影響が比較的早く出やすい傾向があります。
ただし、土づくりが進んだ畑では、地中に水を蓄えやすくなり、乾燥に強くなる場合もあります。
自然栽培における代表的な乾燥対策は次の通りです。
草やワラを敷く「草マルチ」
土の表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、地温を安定させます。分解が進めば有機物も補給されます。
根を深く伸ばす育て方
根が深く張れる土に整えておくことで、地下の水分を利用し、乾燥に耐えやすくします。
雨水や地下水、川の水を使った灌水(かんすい)
井戸水や溜めた雨水などを使って水やりを行う方法です。
ただし、水源の確保や設備の維持には手間がかかります。
また、真夏の日中に冷たい水をかけると葉焼けやしおれの原因になることがあるため、朝や夕方など涼しい時間帯に行うのが一般的です。
雨と灌水の違い
水さえ確保できれば安心――そう思われがちですが、人の手でまく灌水は、見た目こそ雨の代わりに見えても、その働きはまったく異なります。
表面散水では土の浅い部分しか濡れず、特に夏場はすぐに蒸発してしまいます。
一方、雨は広くまんべんなく降り、時間をかけて空気とともに水分を地中深くまで届けます。
さらに雨水は大気中の二酸化炭素を含み弱酸性で、土中のミネラルを溶かしやすく、根や微生物の活動を促します。
つまり、「水をかければ同じ」というわけではありません。
どんなに工夫をしても、自然の雨がもたらす力には及ばない。
これが多くの農家さんの実感です。
まとめ:対策にも限界がある
草を敷き、水をまき、できる限りの工夫をしても、長く続く晴天や猛暑には限界があります。
雨が降らなければ川や地下水も枯れ、やがて灌水すらできなくなることもあります。
どんなに努力を重ねても、自然の力にはかなわない。
農家さんたちはそんな環境の中で、その年の天気と向き合い、作物を育てています。
だからこそ、そうして育った作物の大きさや形には、その年の自然や畑の姿が映し出されています。
一口食べるとき、その背景にある自然の恵みと農家さんの工夫を、少しでも感じてもらえたら嬉しいです。
