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草マルチの基本と注意点|自然栽培・家庭菜園で草を味方にする方法

自然栽培や家庭菜園では、草を敵として抜き続けるだけではなく、刈った草を畑に活かす「草マルチ」という方法があります。

「マルチ」というとビニールを思い浮かべる方も多いですが、実は身近に生えている草でも、十分に効果を発揮します。

今回は、草マルチの効果や注意点、誰でもできる始め方をご紹介します。

草マルチとは?

草マルチとは、刈り取った草を畝や株元に敷いて、土の保護や養分供給に活かす方法です。
自然界では、落ち葉や枯れ草が地面を覆って土を守っていますが、それを畑や家庭菜園でも応用します。

草マルチのメリット

効果 説明
土の乾燥防止 草が地表を覆い、水分の蒸発を防ぎます
雑草抑制 敷いた草が光を遮り、新しい雑草を生えにくくします
雨の泥はね防止 雨による泥の跳ね返りから作物を守ります
土壌改良 時間とともに分解され、有機物が土に還元されます

草マルチの注意点

草マルチはとても便利ですが、使い方を誤ると逆効果になることもあります。
次のポイントに気をつけて、少しずつ慣れていきましょう。

どんな草でもOKではない

どんな草でも使えるわけではありません。
繁殖力の強い草(チガヤやドクダミなど)や、他の植物の成長を抑える性質をもつ草(セイタカアワダチソウなど)は、使い方に注意が必要です。
また、花や種がついた草を使うと、敷いたあとに新しい雑草が増えてしまうこともあります。
花が咲く前の若い草を刈り、健康な状態のものを使うのが基本です。

湿った草は虫やカビの原因に

刈りたての草は水分が多く、蒸れるとナメクジやカビの発生源になることがあります。
日なたで数日干して、水分を飛ばしてから使うと安心です。

厚く敷きすぎない

一度にたくさん敷くと、風通しが悪くなり、地温が下がったり、根が蒸れたりすることがあります。
最初は薄く(2〜3cm程度)敷いて、様子を見ながら少しずつ重ねていくとちょうど良いです。

草マルチに向いている草の例

草マルチには、柔らかく乾きやすい若い草が向いています。
以下のような草が代表的です。

草名 特徴・効果 注意点
スギナ ミネラルが豊富/乾きやすい 地下茎ごと敷かない
カラスノエンドウ 春先に繁茂/窒素固定/柔らかい 種ができる前に刈る
メヒシバ(イネ科雑草) 表面を広く覆う/乾燥しやすい 大きくなる前に刈る
オオバコ 葉が広く、土を覆いやすい 湿った場所では厚くしすぎない
ヨモギ 刈ると香り成分で虫除け効果も 根が強いので根ごと敷かない
チドメグサ 低く地面を覆う/乾燥しやすい 湿気の多い時期は注意
シロツメクサ(クローバー) 土を豊かにする/刈って敷きやすい 種ができる前に刈る
ナズナ 春先によく生える/乾きやすい 花や種がつく前に刈る
ハコベ 柔らかく分解しやすい 湿ったまま厚く敷かない

草マルチに向かない草の例

草マルチに使う草には、それぞれ特徴があります。
中でも、繁殖しやすい草や、他の植物に影響を与える草は扱いに注意が必要です。
代表的な例を以下にまとめました。

草名 理由・注意点
セイタカアワダチソウ 他の植物の成長を抑える成分(アレロパシー)を出すため、敷いた直後に影響が出ることがあります。完全に乾かしてから使うのが安心です。
チガヤ・ススキなど多年草 地下茎で増えるため、根や茎を残したまま敷くと繁殖してしまうことがあります。地上部だけを乾かして使いましょう。
ドクダミ 地下茎が強く、少しでも残ると再生します。根を取り除いても、乾燥が不十分だと再発することがあるため注意が必要です。
花や種がついた草全般 種が落ちると新たな雑草になります。花や種がつく前に刈り取って使うのが基本です。

草マルチのやり方(家庭菜園可)

  1. 草を刈る(花や種ができる前に)

  2. 数日、日なたで軽く乾かす

  3. 苗の周囲や畝に薄く広げて敷く

  4. 草が分解されたり、少なくなったらまた追加する

※ いきなり大量に敷かず、「少しずつ様子を見ながら」がコツです。

家庭菜園では藁や落ち葉からでもOK

草マルチに慣れていないうちは、

  • 市販の藁マルチ

  • 秋に集めた落ち葉

など、乾燥して扱いやすい素材から始めても十分効果があります。

おわりに

草マルチは、わざわざお金をかけなくても、身近な草を上手に活かすことで畑や菜園を豊かにできる方法です。

最初は失敗しても大丈夫。
「どの草を、いつ、どのくらい敷くか?」を少しずつ経験して、自分の畑や庭に合ったやり方を見つけていきましょう。

「草はただの邪魔者じゃない」
そんなふうに思えると、畑づくりがもっと楽しくなるはずです。