自然栽培の伊予柑収穫を手伝って分かったこと|和泉農園の収穫体験レポート
2025年の年末に、愛媛県松山市にある和泉農園で、伊予柑の収穫と選別のお手伝いをしました。
本記事では、自然栽培の伊予柑畑のリアルを、現場での実体験をもとにお伝えします。
和泉農園の自然栽培の伊予柑の魅力が、一人でも多くの方に伝われば嬉しいです。
伊予柑畑の場所
和泉農園の伊予柑畑は、山の斜面に沿って広がっています。
この立地そのものが、伊予柑の育ち方と収穫作業の両方に大きく影響しています。

伊予柑畑が斜面にある理由
柑橘類が斜面で育てられてきたのには、次のような理由があります。
-
日当たりが良い:一日を通して太陽の光を受けやすい
-
水はけが良い:雨が続いても根が過湿になりにくい
-
寒害を受けにくい:冷気が滞留しにくく、霜の影響を受けにくい
伊予柑の品質を安定させるうえで、斜面は理にかなった場所なのです。
和泉農園では、日当たりの悪い場所でも実はなっていましたが、日当たりのいい場所に比べると、実が小さく、ヘタもすぐ取れてしまうものが多くありました。
伊予柑の収穫方法
和泉農園では、伊予柑を「二度切り」で収穫していました。
果実だけを切り取るのではなく、まずは枝を長めに切って、その後にヘタの部分でもう一度切る方法です。
二度切りをするには次のような理由があります。
-
果皮や他の実を傷つけないため:ヘタが長いと、収穫後に実同士が当たりやすく、傷や傷みにつながりやすい。
-
ヘタカビを防ぐため:ヘタが長いと、水分が溜まりやすく、カビが発生しやすくなる。
ポイントはギリギリのところで切ることです。
ヘタのちょっとした出っ張りまで残さず、かといって実は傷つけない。
このギリギリのラインが最初は難しく、三度か四度切ることもありました。

収穫作業の現実
伊予柑の収穫作業は多くの場合、平らな場所に立って行えるものではありません。
畑は斜面に沿って広がっており、地面に立った状態でも体のバランスを意識する場面があります。
そのうえで、脚立を使ったり、木に登ったりする作業が加わります。
そうした環境で、実を傷つけないよう「二度切り」で収穫していきます。
伊予柑は一玉が大きく重いため、片手で実を支えながら切ります。
落としたりぶつけたりすると傷みにつながりやすく、扱いの慎重さも同時に求められます。

作業時間が長くなるほど負担が蓄積し、伊予柑の収穫は見た目以上に体と神経を使う作業でした。
危ないのは慣れてきた頃です。
「もうちょっとであの実に届きそう」
「もっと早く収穫したい」
などと欲が出てくると、横着をしたり、無理な体勢になりがちです。
今回、私はケガこそありませんでしたが、ヒヤッとした場面もありました。

自然栽培の畑
和泉農園の伊予柑畑の足元はむき出しの土ではなく、緑の草で覆われていました。
作業していると、手のひらほどの大きさのカマキリや蜘蛛に出会うこともあり、巣立った後の鳥の巣も残っていました。

収穫は葉や枝をかき分けながら行うため、顔の近くに葉や枝が来る場面も少なくありません。
それでも、農薬は一切まかれていないので、安心して作業することができました。

園主の康平さんは、以前に農薬を使う慣行栽培の伊予柑収穫も経験したことがあるそうですが、そのときは、咳が止まらなくなったそうです。
自然栽培の畑では、同じように葉の中に入り込み、長時間作業をしていても、そうしたことはないとのこと。
しかしその一方で、自然栽培の畑では、弱い木は枯れていきます。
元気に実をつける木がある一方で、力尽きて枯れてしまった木もあります。
肥料で下支えしないということは、すべてが同じように残るわけではない、という現実でもあります。
また、虫の影響も避けられません。
実に穴があいたり、木が弱ったりして、ダメになってしまうものもあります。
実際に、虫が穴をあけたせいで枯れてしまった木も見ました。

自然栽培の畑には、豊かさだけでなく難しさもあります。
畑に入って作業することで、その両方を実感しました。
自然栽培の伊予柑の実に現れる特徴
自然栽培では、肥料や農薬で状態をそろえない分、収穫できる伊予柑の実にははっきりとした個性が出ます。
見た目に現れる特徴
-
見た目にばらつきが出る(色・形・大きさ)
同じ畑でも、実の育ち方は揃わず、色づきや形、大きさに差が出ます。 -
黒点病が出る
表面に黒い点が見られ、市販の伊予柑とは印象が大きく異なります。 -
虫の影響が出る実がある
穴あきがあり、出荷できないものもあります。

味や中身に現れる特徴
-
過剰な水分や栄養がない分、味が凝縮されている
-
甘いだけでなく、伊予柑本来の爽やかな酸味がはっきりしている
-
香りの立ち方が強く、後味がすっきりしている
和泉農園の自然栽培の伊予柑は、スーパーなどで売られている一般的な伊予柑とはまったく違います。
見た目・香り・味・食感まで含めて、自然の力強さがそのまま表れた本来の伊予柑です。

日が沈んでからは選別
日が沈むと、選別の作業が始まります。
収穫した伊予柑が詰まったコンテナを選別機に流し込み、選別が終わったコンテナを積み上げていく。
このコンテナがかなり重いです。
選別機は大きさを自動で分けてくれますが、その前に、選別機の上を流れていく伊予柑を人の目で確認し、弾いていきます。
弾く基準は、たとえば次のようなものです。
-
小さすぎるもの
-
ヘタのないもの(傷みやすいため)
-
見た目が悪いもの
こうして人の目で一次的に状態を見極めたうえで、機械が大きさを分けていきます。
夜の選別は、重いコンテナを扱う力と、流れ続ける実を見落とさない集中力が同時に必要な工程でした。
この日のコンテナは100杯以上。
いつ終わるの?と思うほど大量の伊予柑を捌きました。


晩ごはん
選別が終わると、晩ごはんを囲みながら、農業のことやこれからのことをみんなで話し合いました。
現場のことを笑いながら振り返る一方で、昔はもっと伊予柑畑が広がっていたこと、担い手が減ってきている現状など、日本の農業のこれからを考えるテーマも出ました。
目の前の畑と向き合っている人たちの言葉を聞けた時間は、作業とはまた違う意味で、とても学びの多いひとときでした。
作業は大変でしたが、それを分かち合える仲間がいるのは本当に大事なことで、こうした時間の積み重ねで人と人の絆は深まっていくのだと感じました。

体験を通して感じたこと
今回、和泉農園の伊予柑収穫と選別のお手伝いをし、一部ではありますが、伊予柑づくりの現実を知ることができました。
斜面や木に登っての収穫、二度切りの細かな作業、重いコンテナの運搬、ひたすら伊予柑をチェックし続ける選別。
そのどれもが、想像以上に体力と集中力を必要とする仕事でした。
和泉農園では年末年始と収穫を行い、今年の収穫量は30tを超えたそうです。
その中で私がお手伝いしたのはほんのわずかです。
「あれを30tも…」と考えると、本当に「すごい」という言葉しか出ません。
自然栽培の畑には、生き物の気配や安心して作業できる環境がある一方で、黒点病や虫害といった厳しさもあります。
それでも、収穫した伊予柑は、市販のものとは見た目も味も食感も異なり、自然の力がそのまま実に表れていると感じられるものでした。
こうした伊予柑が、一年を通じた畑の手入れと、収穫・選別という地道な作業を経て届けられていることを、実感を伴って理解できたことは、大きな経験でした。
最後に
この記事で伝えたかったのは、和泉農園の伊予柑の魅力と、それが私たちの元に届くまでの大変さです。
現代では、お金を払えば食べ物を買うことができます。
けれど、その裏側には畑での作業や選別など、たくさんの手間と積み重ねがあります。
そして、和泉農園に伺ってもう一つ感じたのは、手伝う側の意識も大切だということです。
収穫も選別も、体力と集中力が必要で、作業は現場のペースで動きます。
「楽しそう」「ちょっと興味がある」といった軽い気持ちだけで手伝いに行くと、現場では負担になってしまう場面もあります。
手伝いに行く以上は、メンバーの一員として責任を持って作業に臨む必要があると感じました。
というわけで、私は今年(2026年)の年末も、和泉農園のお手伝いに伺います。
メンバーの一員としてやってみたいという方は、ぜひ一緒に行きましょう。
和泉農園のことをもっと知りたい方は、以下の紹介ページをご覧ください。
和泉農園さんの紹介ページ
伊予柑の購入は以下のリンクからどうぞ。(2月末まで販売予定です)
和泉農園オンラインショップ

(園主、康平さんのお父さんです)
