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ほうれん草がえぐい理由は?アクの原因と自然栽培でえぐみが少ない理由を解説

ほうれん草を食べると元気が出る漫画があるように、ほうれん草は鉄分・ビタミン・ミネラルが豊富な栄養満点の野菜です。

でも、「えぐみが苦手」「アクが強くて食べづらい」という人も少なくありません。
実はその“えぐみ”には、栄養と関わる深い理由があります。

この記事では、ほうれん草のえぐみの正体と、自然栽培でえぐみが少なくなる理由をわかりやすく解説します。

えぐみの正体は「シュウ酸」

ほうれん草のえぐみやアクの主な原因は、「シュウ酸(しゅうさん)」という天然成分です。

シュウ酸は植物が外敵から身を守るためにつくり出す防御物質の一種で、独特の渋みや刺激を感じさせるもとになります。

一般的なほうれん草には100gあたり700〜1200mgほど含まれており、特に肥料を多く与えた栽培では、この量が増える傾向があります。

肥料の与えすぎがえぐみを強くする理由

ほうれん草は成長の過程で「窒素(チッソ)」を必要とします。
しかし、化学肥料や堆肥を多く与えすぎると、吸収しきれなかった窒素が「硝酸態窒素」として茎や葉に蓄積します。

この硝酸態窒素は、植物の中でシュウ酸に変化しやすく、結果としてえぐみやアクが強くなる原因となります。

つまり、「早く大きく育てよう」と肥料を多く与える → シュウ酸が増える → えぐみが強くなるという流れが起きているのです。

自然栽培ではなぜえぐみが少ないのか

自然栽培では、肥料も農薬も使わず、土の中の微生物や植物自身の力を生かして育てます。

そのため、成長がゆっくり進み、植物の代謝が安定します。
この過程で、

  • 窒素の吸収がゆるやかになる

  • シュウ酸が過剰に作られない

  • 糖やミネラルが増えて味がまろやかになる

といった変化が起こります。

また、自然栽培の畑では微生物の働きが活発で、根からの栄養吸収が安定しているため、
えぐみが出にくく、旨みのあるほうれん草に育ちます。

冬のほうれん草は甘くなる

同じ自然栽培でも、季節によって味わいは変わります。
冬に収穫されるほうれん草が甘いのは、寒さで糖分をため込むからです。

寒くなると、ほうれん草は凍らないようにするために糖を蓄える性質があります。
その結果、えぐみのもとであるシュウ酸の生成が抑えられ、甘みが強く、えぐみの少ない味わいになります。

一方、気温が高い春〜秋は生育が早いため、えぐみ成分がやや多くなる傾向があります。

まとめ:えぐみを減らすカギは「育ち方」にある

要因 えぐみを強める条件 えぐみを減らす条件
肥料 窒素過多でシュウ酸が増加 無肥料でバランスが取れる
成長速度 急成長で代謝が乱れる ゆっくり育ち、代謝が安定
季節 暖かい時期はえぐみやすい 冬は糖が増えて甘みが強い

自然栽培のほうれん草がえぐくないのは、肥料を使わないからではなく、自然のリズムで育つことで、植物の代謝が整うから。

その穏やかな味わいは、土・微生物・植物がつくる自然のバランスの賜物です。

ノカノワで紹介している農家さんの中には、自然栽培でほうれん草を育てている方もいます。
気になった方は、ぜひ農家さんにお問い合わせください。
きっと、えぐみのないやさしい味わいに出会えるはずです。