ノカノワ

徳島・あめつち自然農園の稲刈り体験と畑見学レポート

今月初旬に、徳島市八多町にある「あめつち自然農園」さんの稲刈り体験イベントに参加してきました。
また、イベント後には畑の見学もさせていただきました。

今回は、そのレポート記事になります。

あめつち自然農園さんでは、稲刈りだけでなく、田植えや脱穀、しめ飾りづくりなど、さまざまなイベントや「畑づくりの連続講座」も開催されています。
この記事が、そういったイベントや講座に興味がある方の参考になれば嬉しいです。

徳島市八多町

あめつち自然農園さんの田んぼや畑は、徳島県徳島市八多町にあります。

八多町を知らない方は、文字だけ見ると、いわゆる“町”をイメージされるかもしれませんが、とんでもない。
地図を見ればわかるように、ここは山の中の「村」です。

それもそのはず、徳島県で唯一の村「佐那河内村(さなごうちそん)」のすぐ隣にあります。

コンビニはなく、トイレもありません。近くのトイレは「多家良中央コミュニティセンター」で借りられます。
とはいえ多家良町は隣町で、少し距離があります。
どうしても間に合わないときは、近くの民家に助けを求めましょう。

道幅が狭いので、車の運転にも注意が必要です。
今回の参加者の中には、縁石にタイヤを引っ掛けてパンクさせてしまった方もいました。
こういう場所では、慎重に、そして対向車が来ないことを祈りながら進むしかありません。

JR徳島駅から車で約30分ほどで、あめつち自然農園さんの田んぼに到着です。

田んぼ

あめつち自然農園さんの田んぼには、一面に美しい稲穂が実っていました。
今年は例年より暑く、雨も少なかったそうですが、稲は順調に育ったとのこと。

現地に到着すると、園主の浜口佳予さんが一人でイベントの準備をされていました。
ご挨拶をし、私もカメラやドローンの準備をしながら、ほかの参加者のみなさんの到着を待ちました。

あいにくの曇り空でしたが、10月初旬にしてはまだ暑く、少し動くと半袖でも汗をかきました。
写真映えはしませんでしたが、作業的には曇りでちょうどよかったです。

しばらく待っていると、参加者のみなさんが続々と到着。
私が参加したのは、あめつち自然農園さんが正式に告知したイベントの一週間前でしたが、大人と子ども合わせて15名もの参加者が集まりました。
これほど集まるとは思っていなかったので、正直驚きました。

佳予さん(園主)からの説明

参加者が全員そろうと、佳予さんが稲刈りのやり方を説明してくれました。

ここで印象的だったのは、佳予さんの説明がとても上手だったこと。
8年間小学校の先生を務められ、現在は自然農の講座も開かれているとのことですが、それだけではなく、人に物事をわかりやすく伝えるセンスが非常に高いと感じました。

私自身、以前に塾の教室長をしていた経験があり、これまでに多くの子どもや先生を見てきました。
中には頭が良くても、人に物事をわかりやすく伝えるのが苦手な先生もいます。
練習や経験である程度は上達しますが、どうしてもセンスが必要な部分もあります。

その点、佳予さんはそのセンスが非常に高く、実践を交えながらメリハリをつけて説明してくれるので、とてもわかりやすかったです。

また、今回は「鎌」を使うため、危険もあります。
佳予さんはその危険性を、子どもたちにもわかるようにしっかり伝えていました。
普段は穏やかに話される方ですが、このときだけは声のトーンも空気も一変。
子どもたちはそうした変化に敏感で、みんなしっかりと話を聞いていました。

体験イベント

田んぼにはワイワイと賑やかな声が広がり、稲刈りがスタートしました。

みんなとても楽しそうに作業していたので、少し写真を撮ったあと、私もカメラを置いて作業に加わりました。

面白かったのは、体が自然に動いたことです。
農作業の経験はありましたが、本格的な作業は5年ぶりで、手刈りは初めてだったので、最初は少し不安もありました。
ですが、何株か刈っていくうちに「こうすれば早くできる」「この姿勢のほうが楽だ」といった感覚が自然に戻り、気づけば夢中で作業していました。

ある程度稲を刈ったら、次は稲をまとめてくくる作業です。
まずは昔ながらの方法で、稲の茎を使って結ぶやり方を教えていただきました。

これが意外と難しい。力を入れすぎると茎が切れ、弱すぎるとまとまりません。
最後までその方法で続けた方もいましたが、私は早々にあきらめて麻紐で縛る方法に切り替えました。

それでも子どもたちには難しかったようで、飽きた子たちが遊び始めます。
鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたり、それもまたすごく楽しそうで、微笑ましい光景でした。

次は「はざ(稲架)かけ」です。
はざとは、刈り取った稲を天日干しするための木製の骨組みのこと。

遊び終わった子どもたちも合流し、みんなで稲をかけていきました。

終始和やかな雰囲気の中、約2時間ほどで稲刈り体験イベントは無事に終了しました。

畑見学

イベント参加者のみなさんとお別れしたあと、あめつち自然農園さんの畑を見学させていただきました。

あめつち自然農園さんは「自然農」と呼ばれる農法を実践されており、この畑では4年間、肥料も農薬も使わず、そして耕さずに野菜やハーブが育てられています。

畑に足を踏み入れると、まず土の柔らかさに驚きました。
カチカチの硬い土では作物はなかなか育ちません。
土の柔らかさは、良い畑かどうかを見分ける一つの指標です。

佳予さんによると、年々、土の状態が良くなっているとのこと。
自然農を実践する方の中には「5年目に畑がぐっと良くなった」と話す方もいるので、佳予さんも「来年が楽しみです」と話していました。

あめつち自然農園さんの畑は、見ていて楽しいのがポイントです。

一見すると草が生い茂っていて管理されていないように見えるかもしれませんが、これが大きな特徴。
草と共に作物を育てることで、土の中の微生物や虫たちが活発に動き、自然の循環が保たれています。

草の種類や生え方にも意味があり、必要以上に刈らず、見極めながら管理されています。
よく見ると、草の間に元気な野菜がしっかりと育っていて、まるで自然の中の小さな生態系のようです。

また、畑には円形の畝(うね)がつくられた場所もあります。
一般的な畝がまっすぐ整列しているのに対し、放射状に広がる円形の畝は見た目にも個性的で、畑の景観に動きを与えています。
この形には、日当たりや風通しを均一にし、作物の成長を助ける工夫も込められています。
自然のリズムに合わせたこうした工夫が、あめつち自然農園さんの畑をより魅力的な場所にしています。

佳予さんと話しているうちに、曇っていた空が少しずつ晴れはじめました。
野菜や草や虫たちが光を受けて輝き、畑全体がいきいきと息づいているように感じました。

最後に

佳予さんとお話しさせていただいて気づいたこと。
それは、佳予さんには人に好かれる才能があるということです。

純粋で、素直で、真面目で、思いやりがあって、勉強家。
でも、決して完璧なわけではなく、少し抜けているところもあって、ほんわかしているけれど、芯は強い。

そんな佳予さんの魅力的な人柄に惹かれて、自然と人が集まってくるのだと感じました。

畑で行われている連続講座には、今年は10名の参加者がいて、中には大阪から通われている方もいるそうです。
それぞれがこの場所で多くのことを学び、畑とともに成長し、今はそれぞれの分野で活躍されているとのこと。
その話を伺っていると、あめつち自然農園が“人の育つ場所”にもなっていることが伝わってきました。

あめつち自然農園さんでは、来年も講座を開講されます。
いきなりの参加が不安な方は、まずは見学やイベント、マルシェなどに足を運んでみるのもおすすめです。
告知はインスタグラムでされるので、気になる方はぜひフォローしてみてください。

 

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【あめつち自然農園さんのインスタグラム↓】
https://www.instagram.com/ametsuchi.farm_tokushima/